連珠ルールブック

連珠開局規定

連珠開局規定など

  1. 珠型交替五珠2題打ち
    平成8年以降の世界共通開局規定で、現在のRIFおよび日本連珠社の公認開局規定。通称「2題打ち」。本書では、以下2題打ちと称す。
  2. 珠型五珠題数提示選択打ち
    日本が提案した開局規定。通称「題数指定打ち」または「題数打ち」。本書では、以下題数打ちと称す。
  3. 四珠交替打ち
    エストニアが提案した開局規定。通称「ソーソロフルール」または「エストニアルール」。本書では、以下四珠交替打ちと称す。
  4. 五珠交替打ち
    ロシアが提案した開局規定。通称「タラグチルール」または「ロシアルール」。本書では、以下五珠交替打ちと称す。
  5. 除外システム
    開局規定ではなく、ロシアが提案したRIF認定の開局規定選択方式。
(2)〜(4)の開局規定は、2008年5月に開催されたRIF中央会議で採択され、追加認定されました。
(2)〜(4)の開局規定は、2012年9月1日までテスト期間として適用されます。以後のRIF公認開局規定は、各規定のデータ解析を基にして、改めて2012年のRIF中央会議で採択される予定です。テスト期間中、(1)〜(4)の開局規定で打たれた対局はすべてRIFレーティング(世界ランキング)に反映可能です。
(2)の題数打ちは、2012年までの世界選手権およびチーム世界選手権の開局規定として採用することが決まっています。
(5)の除外システムは、主催者がこれを認めれば使用できます。

開局規定1 … 2題打ち

(1)
仮先は基本珠型(別掲5〜6頁)の中から一つを打ちます。
(2)
仮後は、仮先の示した珠型を見て、黒番か白番かを選択します。
(ここで黒番を選択することを、便宜上黒白交替と称します)
(3)
白番に決まった対局者は、白4を自由に打ちます。
(4)
黒番は黒5を2ヶ所打って、白番に示します。
(5)
白番は示された2ヶ所のうち一方を黒5として盤上に残し、他方を黒番に返します。
(6)
開局作業はここまでです。黒白交替権は1回となります。

開局規定2 … 題数打ち

(1)
提示者は基本珠型の中から一つを打ち、黒5の題数を提示します。
(2)
選択者は提示者の示した珠型と題数を見て、黒番か白番かを選択します。
(ここで黒番を選択することを、便宜上黒白交替と称します)
(3)
白番に決まった対局者は、白4を自由に打ちます。
(4)
黒番は黒5を(1)で提示された題数だけ打って、白番に示します。
(5)
白番は示された題数のうち一つを黒5として盤上に残し、それ以外の黒石を黒番に返します。
(6)
開局作業はここまでです。黒白交替権は1回となります。

開局規定3 … 四珠交替打ち

(1)
仮先は基本珠型の中から一つを打ちます。
(2)
仮後は、(3-a)、(3-b)どちらを行なうか選択します。
(ここで3-bを選択することを、便宜上黒白交替と称します)
(3-a)
白4を自由に打ち、黒5の題数を1〜4の範囲で提示します。
(3-b)
(3-a)で示された白4と題数を見て、黒番か白番かを選択します。
(ここで白番を選択することを、便宜上黒白交替と称します)
(4)
黒番に決まった対局者は黒5を(3-a)で提示された題数だけ打って、白番に示します。
(5)
白番は示された題数のうち一つを黒5として盤上に残し、それ以外の黒石を黒番に返します。
(6)
開局作業はここまでです。黒白交替権は2回となります。

開局規定4 … 五珠交替打ち

(1-a)
仮先は黒1を天元へ打ちます。
(1-b)
仮後は(2-a)、(2-b)どちらを行なうか選択します。
(ここで2-bを選択すること、および以下3-b、4-b、5-bを選択することを、便宜上黒白交替と称します)
(2-a)
白2を天元から1路の範囲内へ打ちます。
(2-b)
(2-a)の後、(3-a)、(3-b)どちらを行なうか選択します。
(3-a)
黒3を天元から2路の範囲内へ打ちます。
(3-b)
(3-a)の後、(4-a)、(4-b)どちらを行なうか選択します。
(4-a)
白4を天元から3路の範囲内へ打ちます。
(4-b)
(4-a)の後、(5-a)、(5-b)どちらを行なうか選択します。
もしくは、ここでオプションを宣言することもできます。
(5-a)
黒5を天元から4路の範囲内へ打ちます。
(5-b)
(5-a)の後、黒番か白番かを選択します。
(ここで黒番を選択することを、便宜上黒白交替と称します)
(6)
開局作業はここまでです。黒白交替権は5回となります。
オプションが宣言された場合

(5-a)(5-b)および(6)を行なわず、(4-b)の後は下記の通り進行します。

(オプション−1)
オプションを宣言した対局者は、自動的に黒番に決まります。
(オプション−2)
黒番に決まった者は黒5を5ヶ所打って、白番に示します。
(オプション−3)
白番は示された5ヶ所のうち一つを黒5として盤上に残し、それ以外の黒石を黒番に返します。
(オプション−4)
開局作業はここまでです。黒白交替権は4回となります。

除外システム

対局者が一局ごとに開局規定を選べるシステムです。大会の主催者は、前述の4つの開局規定から3つを用いて除外システムを導入する事が可能です。
対局者が仮先(提示者)、仮後(選択者)の順に開局規定を1つずつ除外し、残ったもので対局します。

仮先(提示者)、仮後(選択者)の決定

現在はこうした開局規定が定められているため、対局前に仮先(提示者)、仮後(選択者)を決める必要があります。ここでは、国内で一般的に用いられている「握り」という方法をご紹介します。競技会の運営規定によっては、あらかじめ仮先(提示者)・仮後(選択者)が決められており、握りなどは行なわない場合もあります。

  1. 黒白それぞれ適当な数の石を盤上に出します。なお、下位者(または年少者)が黒、上位者(または年長者)が白を握るのが一般的です。
  2. 両者が出した石の数を合計し、奇数ならば黒白そのまま、偶数ならば黒白を交換します。
  3. この時点で黒を持っている者が仮先(提示者)、白を持っている者が仮後(選択者)となります。

基本26珠型

珠型の向きは間違えても反則ではありませんが、本来は仮先(提示者)から見て次頁の向きになるように打ちます。愛称もそれを前提につけられています。

直接止め

白2を天元の1路上に打つことをいう。

直接止め

黒3の着所は図のように黒1から2路以内の13ヶ所に限られる。(左右対称なのでこの13ヶ所しかない。)珠型には日本では愛称(別掲)が付いているが、国際棋戦ではD1、D2、…、D13と記号で記録するのが慣例である。直接止めの号数の数え方は図の通り。
D … Direct(直接止め)の略

間接止め

白2を天元の右斜め上に打つことをいう。

間接止め

黒3の着所は黒1から図のように2路以内の13ヶ所に限られる。(黒1の点対称なのでこの13ヶ所しかない。)国際棋戦ではI1、I2、…、I13と記号で記録するのが慣例である。直接止めの号数の数え方は図の通り。
I … Indirect(間接止め)の略

珠型の愛称

通常日本国内でしか呼称されません。

直接止め13珠型=Direct … 13types

直接1号
寒星
(カンセイ)

直接2号
渓月
(ケイゲツ)

直接3号
疎星
(ソセイ)

直接4号
花月
(カゲツ)

直接5号
残月
(ザンゲツ)

直接6号
雨月
(ウゲツ)

直接7号
金星
(キンセイ)

直接8号
松月
(ショウゲツ)

直接9号
丘月
(キュウゲツ)

直接10号
新月
(シンゲツ)

直接11号
瑞星
(ズイセイ)

直接12号
山月
(サンゲツ)

直接13号
遊星
(ユウセイ)
   
間接止め13珠型=Indirect … 13types

間接1号
長星
(チョウセイ)

間接2号
峡月
(キョウゲツ)

間接3号
恒星
(コウセイ)

間接4号
水月
(スイゲツ)

間接5号
流星
(リュウセイ)

間接6号
雲月
(ウンゲツ)

間接7号
浦月
(ホゲツ)

間接8号
嵐月
(ランゲツ)

間接9号
銀月
(ギンゲツ)

間接10号
明星
(ミョウジョウ)

間接11号
斜月
(シャゲツ)

間接12号
名月
(メイゲツ)

間接13号
彗星
(スイセイ)
   

新開局規定の解説

説明文だけではわからないと思いますので、各開局規定について解説を加えます。
まず認識していただきたいのは、題数打ちは2題打ちの変形なので黒3の後に黒番・白番が決定しますが、四珠交替打ちはその名の通り白4、五珠交替打ちは黒5(オプション発動の場合は白4)まで打ってから黒番・白番が決まることです。つまり、黒白が決定する珠数が後ろに行けば行くほど、選択の幅=打てる局面が広がっていくということです。
それでは、馴染みのない2つの開局規定を説明していきましょう。

四珠交替打ち

仮先が浦月を提示したとします。黒5は4題が上限となっていますから、仮後が「どんな白4が来ても、かつ題数が上限の4題であっても、黒を持ちたい」と思ったとすれば、黒白交替で相手に白4を打たせるのが有効です。仮先が白4を打って4題を指定した(1図)のを見て、仮後は黒番を選択し、黒5を四つ示します(2図)。あとは白がその中の一つを選んでスタートです(3図)。

1図2図3図

実は2図の時点で、題数打ちで浦月4題が提示されたときと全く同じになっています。ただ題数打ちと違うのは、題数を白4と同時に提示するので、よりきめ細かい作戦を選択する事が可能になります。

もう一つ例を示しましょう。
長星は2題打ちではほとんど打たれませんが、新しい開局規定では一気に花形になるかもしれません。四珠交替打ち(や、五珠交替打ち)では、白4をわざと弱い所に打ち(4図)、互角もしくは黒有利の形にする事ができるからです。白4を工夫すれば、3題打ちや4題打ちとあいまって、互角の局面で打つ事ができます(5図・6図)。桂馬の珠型でも、白4と題数のセットですから、題数打ちの弱点(2題だと黒有利、3題だと白有利というようにくっきり分かれてしまう珠型が出る可能性がある)を補っていると言えるでしょう。

4図5図6図

五珠交替打ち

この開局規定はさらに馴染みがないので、理解するのが難しいと思います。「タラニコフルール」と呼ばれているものにオプションがついたものですが、まずはタラニコフルールを理解する必要があります。一言で言えば「一手ごとに交替権がある」という開局規定です。ですから、一手ごと入れ替わる場合もあるでしょうし、五手連続片方が打つという場合もあるでしょう。先程の長星で言えば、4題では示されないであろう微妙な場所に打つ事ができます(例えば7図のような黒5)。

7図

したがって、四珠交替打ちよりさらに範囲が広がるということになります。これで何ら問題がないように見えますが、タラニコフルールでは、あまりに常識とかけ離れた局面が出現する可能性があることが問題として指摘されました。

8図

例えば、先程の長星の例で行けば白4、黒5の手などです(8図)。この局面に出会った時、多くの人は驚くでしょうし、ましてや研究しているとは思えません。つまり、事前にピンポイントで作戦を仕込んでおく事ができるわけで、こうなると実力より研究した者の勝ちという結果となってしまいます。これを防ごうというのがオプションです。

9図

これは、白4が打たれた時点で黒番を確定できるというものです。その代わりに黒5は5題打ちが義務付けられます。
例えば今の例では、白4を見てオプションを宣言し、黒5をA〜Eにでも打っておけば黒が有利に展開できます(9図)。つまり、白として白4のような離れた手が打てなくなるというわけで、必然的に常識的な白4が打たれるという効果が期待できます。